JCDデザインアワード2010

2010-07-12

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社団法人日本商環境設計家協会(JCD)が主催する「JCDデザインアワード2010」は、商環境を中心とする空間デザインの顕彰を目的に毎年開催される。 今年の応募総数は375(うち海外応募17点)。最終審査がこのほど東京デザインセンターで行なわれた。(2010.06.19)。先ず1次審査で106点が選出され、約4時間におよぶ公開制の2次審査を経て、大賞はじめ上位各賞が決定しました。

まず、審査でテーブルの上に並べられた一次審査で選出された106点は、どれも素晴らしくクオリティーの高い作品ばかりで日本のインテリアデザインの質の高さを再確認しました。デザインの技術は、ある一定のクオリティに達しているので、そのデザインの中に含まれたメッセージの強さ、次代のカルチャーとしてのポテンシャルを持つデザインをイメージして選出していきました。

その中で大賞になった「ナインアワーズ 京都寺町」は、コンセプトの明快さもさることながら、カプセルホテルというコンテンツに時代のムードの様なものを感じたことが大賞に繋がった最大の要因です。インテリアデザインは、好むと好まざるに関わらず次代のムードを捉えて次代を牽引していく「時代の寵児」である宿命を持っている様に感じます。カプセル空間は70年代に黒川紀章のデザインが出発点になっていますが、2010年という時代をうまく捉えて表現した「ナインアワーズ 京都寺町」は、このジャンルの到達点とある種の未来をも想像させるデザインでした。

その他の受賞作品にも現れていますが、中央の大規模な施設のデザインと反して、地方の比較的小さな美容院の空間デザインが多くノミネートされていて、その親密で個性的な空間には次のインテリアデザインの時代を予感させるものを感じました。
常に時代のメインカルチャーに対してカウンターカルチャーが存在する様に、カウンターカルチャーは常に小規模の「種」のようなものから共鳴共振していく波紋の様に広がってやがてメインカルチャーとなっていきます。
それは常に中央でなく(地方)、少数派から生まれてきます。
センスの良いオーナーと一緒にデザイナーが創り上げた個性的なデザインに希望を感じました。


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(辻村久信)

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